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『神の子』(上) 薬丸 岳 / 孤独な少年の心と闇の組織

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『神の子』(上) 薬丸 岳 / 孤独な少年の心と闇の組織 

薬丸岳さん
『神の子』(上)

天才的頭脳と、絶望的な孤独。
授けられたのは、それだけだった。



あらすじ&感想


殺人事件の容疑者として逮捕された少年には、戸籍がなかった。十八歳くらいだと推定され、「町田博史」と名付けられた少年は、少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録する。法務教官の内藤は、町田が何を考えているか読めず、彼が入所したことによって院内に起こった不協和音に頭を悩ませていた。やがて、何人かの少年を巻きこんだ脱走事件の発生によって、事態は意外な展開を見せる…。


面白いですね。
またいいところで終わるんです。
薬丸さんの2冊に渡る長編は初めて読みますが、やはり人物を描くのが上手いです。
『神の子』(単行本)は上下巻合わせて相当なボリュームです。
でも読み応えたっぷり。
まだ上巻を読んだだけですが感想を書きたくなってしまいました。





戸籍がない少年


あらすじに惹かれて読み始めたこの本。
主人公の町田博史は戸籍がなかったのです。
戸籍がないってどういうこと!?
・・・と目を見張りました。
結婚はおろか運転免許も取れません。
そして学校にも行けないのです。

少しネットで検索してみると、日本にも数多くの無戸籍の人たちがいることに気付き唖然としました。
私が今まで何不自由なく暮らしてきたことが出来なくて苦しんでいる人たちがいる事実。
かなりショックでした。
自分の存在意義までも見失ってしまいそう・・・。

ここで描かれている町田は、頭の良さはピカイチでした。
最も優れていたのは記憶力です。


見たものを写真撮影したように記憶に焼きつける能力です。数百人から数千人にひとりの割合でそういう能力を持った人間がいるそうです。



直観像記憶というものらしいですね。
素晴らしい能力です。
学校にも行けず友達もいない町田は、本を見て知識を得ていました。


おれはこの頭だけを頼りに今まで生きてきた。これからもそうさ。生き残るためには手段を選ばない―



そう言い放つ彼の生きてきた世界。
孤独でゾッとしてしまうくらい過酷なものでした。
唯一の救いがあるとすれば、ミノルという少年の存在ですね。





闇の世界


町田は闇の世界に足を踏み入れていました。
振り込め詐欺グループです。
そのボスである室井という人物はいったい何者なのか?
上巻では、その組織の執念が怖いほどに描かれています。

室井は自分の理想の社会を作るために町田を取り込もうとしていました。


「室井さんは何を望んでいるんですか?」
「この世界を変えたい。この腐りきった世界を変えたい。ただそれだけだ」



その野望のために犠牲になっていく人たち。
少年院にまでスパイを送り込んだりします。
・・・恐ろしい。
ドキドキが止まりません。

そんな怖いところに属している雨宮という男は組織を裏切ろうとします。
上巻はそこで終わってしまったので続きが気になる。
雨宮はどうなってしまうのでしょう。


欠けている心


この本を読んでいて一番に気になったのは町田の心です。
十八年間 戸籍もなく、ただひたすら本の知識を頼りにして生きてきた少年の心。


あいつはおれに会いに来ても、いつも機械の話しかしない。(中略) あいつの心は何かが欠けているんだ。大切な何かがな。



誰にも心を開かず自分の頭だけを頼りにする彼は救われるのか。
傍からみると冷たいように見えてしまう少年ですが、読んでいると優しい面もあることに気づきます。
確かに何か決定的に欠けているのかもしれません。
でも救われて欲しいと願わずにはいられないのです。





ヒューマンドラマのような


薬丸さんが描く『神の子』はミステリーのようであり、人を描いたヒューマンドラマのようでもあります。
その全ての人が町田の周りをくるくる回っている。
彼らがどう繋がっていくのかと楽しみながら読んでいました。
主人公を取り巻く人たちの今後の行方も気になります。
下巻が楽しみです。


『神の子』(下) のレビューです。
↓↓
*生きるために*



闇の組織の全貌にはヒヤリとしました。町田は救われるのでしょうか。


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