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『回廊封鎖』佐々木 譲 / 執念の復讐劇

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『回廊封鎖』佐々木 譲 / 執念の復讐劇 

佐々木譲さん
『回廊封鎖』

法が裁けない罪に報いを。
地獄を見た人間に光を。





あらすじ&感想


巨大ビルの中で、悲劇の幕があがる!3つの殺人事件には共通点があった。被害者はみな大手消費者金融の元社員であること、処刑のような殺害方法…。久保田刑事は捜査する中で、意外な犯人像に迫る。事件の連鎖は止められるのか!?

佐々木譲さんと言えば、私が連想するのは警察小説です。
ですが今回は、今までとは趣旨が違うような気がしました。
新たな一面を垣間見たような印象を受けます。
この本で描かれていたのは壮絶な復讐劇です。


狂わされた人生


ごく普通の人生を送っていた人たち。
ちょっと歯車がズレてしまっただけで借金地獄に陥り、家庭崩壊してしまう。
その果ては自己破産です。

過酷な道を歩んできた人たちが復讐を果たしていく。
読んでいて犯人に肩入れしてしまう自分がいました。
そういえば昔読んだ宮部みゆきさんの『火車』でもそんな気持ちになったような・・・・・。
二つに共通しているのは借金地獄。
ごく普通の人たちがハマって抜け出せなくなる。
ほんの少しの歯車が狂ってしまったがために・・・・・。
彼らの人生を狂わしたのは消費者金融です。
本書では「紅鶴」というサラ金会社がでてきます。


復讐計画


主人公の重原達巳と仲間の4人は、元「紅鶴」社員達に制裁をくわえていきます。

法が裁けなかった罪に報いを。

これは本の帯に書かれていた言葉ですが、怒りと理不尽さが感じられます。
彼らは復讐の計画を練るのです。


「計画は、二段構え、三段構えになる。(中略) もし最初に誰かが失敗しても、別の誰かが計画を引き継ぐ。確実にやる。おれたちの連携プレーで、因果応報をこの世に実現させる」



並々ならぬ決意ですね。
それを追う刑事さんもいるのですが、この本を読んでいると犯人を応援したくなってしまうから不思議です。
犯人側の人たちがみんな良い人なんですよね。

果たして計画は成功してしまうのでしょうか?
気になるけど先を読むのが怖いような。
でも思いもよらないラストにびっくりしてしまいました。





悲劇の結末


この結末は衝撃的でした。
・・・・・っていうか、みんな死にすぎ。


あっ。
勢いで少しだけネタバレしてしまいました。
・・・・・こうきたかぁ。
これはもう悲劇としか言いようがありません。
最後まで犯人の執念を感じました。
味のある物語でしたが、やっぱり佐々木さんの小説は道警シリーズのようなバリバリの警察ものが好きです。


作品に込められた怒り


読後に佐々木さんのインタビュー記事を読みました。
そこには作者の痛切な思いが書かれています。

"主人公たちは決して自堕落な生活を送っていたから借金を背負ったわけではありません。人生の回転があるときほんの少し上手くいかなかっただけに過ぎない。でも、そんな彼らを救済するシステムが社会になかったがゆえに、自殺を考えなければならないところまで追いつめられてしまう。そのような社会とはいったい何なのだろうか、という私自身の怒りが彼らには投影されています"


私がいつもと趣きが違うなと感じたのは、犯人側に重きが置かれていたからです。
そこには、このような作者の怒りが投影されていたんですね。
何の落ち度もない人々が借金地獄に陥ってしまう。
でも、それを救済できるだけのシステムがない社会背景。
ここで描かれている犯人もまた、そんな世の中の犠牲者なのかもしれません。





なんとなく物足りなさを感じつつも読み進めた一冊でした。
でも、このインタビュー記事を読んで佐々木さんが伝えたかったことがわかった気がします。
作者の静かな怒りを感じました。


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