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『ロートレック荘事件』筒井 康隆 / 鮮やかな叙述トリック

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『ロートレック荘事件』筒井 康隆 / 鮮やかな叙述トリック 

筒井康隆さん
『ロートレック荘事件』

銃声が二発! 夏の終わり、
美しい洋館で 惨劇が始まる……。





あらすじ&感想


夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
―「BOOK」データベースより―


見事に騙されました! ハイ

筒井さんと言えばSF小説のイメージが拭えない作家さんです。
その彼がミステリーものを書いていたと知り、前から気になっていました。
そして借りてきたのが、
『ロートレック荘事件』です。

「面白かった!!」と言うよりは、鮮やかなトリックに圧倒された感が強かったです。
感服しました。
さすがと言わざるをえません。
ただ、そこまで手放しで面白いとは思えない作品でした。

たぶんこの本の評価は、真っ二つに分かれそうです。
それは、トリック重視かそうでないかによるんじゃないかな。


洗練された叙述トリック


騙されました!と先ほど書きましたが、まず感じたのが洗練されたトリックです。
この小説のメインはあくまでも叙述トリック。
そうと分かっていれば、こんなにもあっさり騙されなかったのにー。(←かなり悔しい)
・・・でもやっぱり気づかなかったかも。
素晴らしかったです。
最後に明かされるのですが、戻って読み直しちゃったほど。

ええーっ!!と衝撃を受けました。

本の表紙に、
この作品は二度楽しめます。と書いてあるんですが、その通りです!





物語の原点


冒頭はこんな文章で始まります。


忘れることなどできない。おれと重樹がともに八歳のときの夏だった。おれは重樹を滑り台のスロープの中ほどから足で突き落としてしまい、彼を畸形にして、その一生を目茶苦茶にしてしまったのだ。



すべてはここが原点になっているんだなと、読み終わったあとにしみじみしちゃいました。
この物語は犯人にとって残酷なラストで幕を閉じます。
悲しい殺人者。
小説のラスト一行がとても切ないんですよね・・・。

ところで、本書には何枚かの絵が出てきます。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックというフランスの画家さんの絵。
彼は14歳の時に足を骨折したため脚の発育が停止し、成人した時の身長は152cmだったといいます。
私の身長と同じくらいです。
登場人物である重樹は、彼がモデルなんですね。


馴染めなかった理由


すっかり騙された私ですが少し反論を言うと、うん?と違和感を抱く場面もあったんです。(←負け惜しみ)
でも結局、その正体はわからぬまま読み進めました。





『ロートレック荘事件』はある意味、騙された方が楽しめる小説なんだと思います。
というか、騙されないと面白くない。
だから私は騙されて良かったんです。(←開き直り)
・・・というのはトリックは神業の如く素晴らしいのですが、お話の内容はそれほどでもないように感じてしまったからです。
至って普通です。

そして私があまり馴染めなかったのは、最後の方の種明かしの部分にあります。
犯人の自供シーンです。
これこれこうだった・・・と、ひとつひとつわかり易く説明してる章があるんですが、○○ページの△△行目・・・、という感じに書いてあるんです。
それを読んで、学生の時にやった問題集を連想してしまった私。
問題集って後ろのページに回答がかいてありますよね。(○○ページの△△問目という感じに。)
それで一気に冷めてしまいました。
この部分は、いらない。

ただ何度も言うようですがトリックは素晴らしいので、そういう意味では読む価値は大いにあります。
そこには筒井さんの手腕を感じました。


漢字一文字が表す物語


この物語は第1章~第19章で構成されています。
そこで目をひいたのが、その章につけられたタイトル。
漢字一文字なんです。
例えば1章は「序」、2章は「起」、3章は「承」・・・という感じに。

それで私は、漢字の意味を検索しながら読み進めました。
そうしているうちに思ったことなんですが、漢字って一文字なのに色んな意味があるんですよね。
それがちゃんとお話にマッチしていて(タイトルなんだから当たり前なんですけど)、面白さを感じました。
漢字って奥深い。

筒井さんって頭良いなぁ・・・と変なところで感心しちゃいました。
思いっきり騙されたい方にオススメの一冊です。


** 拍手コメントRe:**(4/24)
mさんへ。
ありがとうございます(*^_^*) 苦手だった漢字が少し好きになっちゃいました。この本に感謝(*^^*ゞ・・・ですね☆
** ひだまりさん。**

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叙述トリック,

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