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『なんにもできなかったとり』(絵本) 刀根里衣 / 幸せを求めて

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

読書感想ブログです。たまにネタバレするかもしれません。ホームベーカリーGOPANのレシピも扱っています。


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『なんにもできなかったとり』(絵本) 刀根里衣 / 幸せを求めて 

刀根里衣さん
『なんにもできなかったとり』

こんなぼくでも
だれかの役に立てることが
きっとある……





あらすじ&感想


なにをやってもうまくできない不器用な一羽のとり。そのとりは、当時、無力感を抱いていた作家自身でした。作品を手にしたイタリア人編集者が、ページを閉じた瞬間に出版を決めたという感動作。生きるとは何か、幸せとは何かを考えさせられる結末に、心が震えます。絵本作家・刀根里衣の原点であるイタリアデビュー作。
―「BOOK」データベースより―


今日 紹介するのは、とねさとえさん
『なんにもできなかったとり』です。
イタリアデビュー作なんですね。

・・・実はこの本を読んで、私は泣いてしまったんです。
絵本では初めての経験です。
なぜ泣いてしまったんだろう?・・・と考えていると、自分に照らし合わせて読んでいたということに気づきました。
私が本書から感じたものは次の4つです。
共感、勇気、そして喜びと切なさ
様々な感情がわきあがってきました。

※ 今日のレビューは少しだけネタバレあります。でもとても心が震える本なので、ぜひ手に取っていただきたいです。


作者の思い


この絵本は、作者の思いがたくさん詰まっているように感じます。
どういうことかと言うと、ここで描かれているのは刀根さん自身なんです。
絵本ナビというサイトに刀根さんのインタビュー記事がありました。
(↓一部 記事を抜粋しています。)


そのころの私は、仕事での収穫はないし、英語も中途半端。学生時代の友人は、夢を見つけて前に進んでいるというのに、自信を喪失していました。さらにイギリスの滞在許可は切れる目前で、お先真っ暗! でも、こんなダメな私でも「なにかひとつはできることがある」という希望を込めて描きました。
― 絵本ナビより



その記事を読んだら、さらに好きになりました。
当時の彼女の思いが、絵本にそのまま描かれているんですよね。
何をやっても中途半端な自分でも、出来ることはある。
・・・そんな思いが伝わってきて胸が熱くなりました。

1羽の鳥を通して見えてくるもの。
それは、
生きるって、何?
幸せって、何?

・・・という疑問です。
この絵本を読んでいると、その答えが見えてくるんです。





不器用な鳥と私 (共感)


主人公は1羽の不器用なトリ。
「なんにもできなかった」というタイトルからも想像できるのですが、何をやっても満足にできませんでした。


みんなは 魚をつれるのに、ぼくには つれない。



尻尾がお花になっている主人公の「ぼく」。
可愛いイラストにほっこりするのですが、ちょっと切ない気持ちもわきあがってきます。
私も何でも器用にできる方ではないから、主人公に共感してしまうんです。
失敗ばかりを繰り返すと、たまに自分がイヤになったりもします。


みんなは 空を飛べるのに、ぼくには 飛べない。



トリに昔の自分を照らし合わせて読んでいる私がいました。
みんなは上手くできるのに、私だけ。
そう思うとよけい惨めな気持ちになります。
知らずに涙が出てきてしまいました。


チャレンジする気持ち (勇気)


なんにもできない「ぼく」。
でも、何もしなかったわけではありません。
現状を変えようと努力する姿が描かれていました。


あみを使ったら いっしょに つれるかな?
あみが 大きすぎちゃった。



網を使って魚を釣ろうとします。
でも、網が大きすぎて失敗してしまいます。


風船を使ったら うまく飛べるかな?
ほら、飛べたよ!
あれれ? 空気がぬけちゃった。



風船を使って飛ぼうと試みます。
でも、空気が抜けて失敗してしまったようです。
頑張って!!と応援していました。
チャレンジする主人公に勇気を貰えます。
結局は全て失敗してしまいますが、何もしないのと、何かをするのでは大きな違いがありますね。
たぶん、刀根さん自身もそうだったのではないかと思います。
上手くいかなくても諦めない。
結果ではなく、その過程を経てきたからこその今。
だからこの絵本は、こんなにも心が震えるんだと思いました。


生きることとは? (切なさ)


全て上手くいかなかった鳥は、深く傷ついてしまいます。


ああ、どうしてぼくだけ なんにも上手に できないの?



本書を読んでいて、この言葉が一番ガツンときました。
胸が痛いです。
頑張って努力しても報われないことがあります。
・・・というか、その方が多いかもしれません。
でも鳥を見ていると、生きるってそういうことかなとも思うんです。
少なくとも、彼は一生懸命いきている。
その姿に感動を覚えます。
そして生きることに欠かせないのが幸せです。





ほんとうの幸せ (喜び)


絶望のどん底にいた彼は、あるものと出会います。
何と出会ったのかは書きませんが、それによって彼は気づくんです。


こんなぼくでも だれかの役に立てることが きっとある……



誰かの役に立てることの喜び。
それによって、他者の幸せと自分の幸せを実感するのかもしれませんね。
もう「なんにもできなかったとり」ではなくなりました!

・・・でも、実は結末に切なさを感じてしまいました。
これでいいの?・・・と問いかけたくなります。
主人公にとっては最上の幸せなのかもしれませんが。

何がほんとうの幸せなのか?

宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』を読んだ時にも感じたことです。
そこにあるのは、自己犠牲から生まれるものです。
自分を犠牲にしてまでも他者の幸福を願う精神。
他人がどうこう言うことでもないのですが、私はやはり違う形の幸せを望んでしまいます。
私が「ほんとうの幸せ」に行き着くのは、まだまだ先なのかもしれません。
鳥が幸せになった、最後の絵がとても好きです。
切ないけれど美しい。
ぜひ読んで確かめてみてください。


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絵本, 刀根里衣, 切ない, 自己犠牲の愛, ,

4 Comments

lime  

このレビューだけで、とてもじ~んときました。
(絵がものすごく温かくてわたし好みで、そこにまず心奪われるのですが)
自分の無力感に落ち込む。
これはもう、人間をやっていたらきっと誰しもが思う事だし、もしかしたら一生思い続けることかもしれないから、共感するという点で、ぐっと読者の心を掴みますよね。
(私も日々、落ち込みっぱなしだし><)
このとりが、どんなふうに自信を持てるようになったのか。
幸せを感じられるようになったのか。
最後のページが、私もすごく見たくなりました^^

2016/04/30 (Sat) 10:42 | EDIT | REPLY |   

ひだまりさん。  

limeさんへ。

コメントありがとうございます(*^^*)
limeさんもジーンときちゃいましたか。
絵本を読んだら泣いてしまうかもしれませんね。

とても共感してしまう本なんです。
自分と照らし合わせて読んでしまうから、ジワジワっときます。
鳥の気持ちがわかるし、失敗しても頑張ろうとするところに健気さを感じました。
落ち込んだり、浮上したり・・・。
私もそんな毎日です。
もっと器用に生きたいなと思うんですが、なかなかそれが出来なくて。
でもこの絵本を読んでいると、私だけじゃないのかなという気もして少しホッとしたりもします。(←性格の悪い私。)

最後のページのイラスト、とても綺麗です。
切なくなるけど美しくて魅入ってしまいました。

2016/04/30 (Sat) 12:55 | EDIT | REPLY |   

雨降りさん  

私もこの絵本を読んで、胸が締め付けられ、ひだまりさん。と同じことを考えました。
もっと違う結末はなかったのかなって。
私も主人公の鳥のように、ひどく不器用で何もできないタイプなので、すごく共感しました。
だからこそ、だれかと声をあげて笑う姿が見たかったな。。。
切なくて切なくて。。。
本当の幸せってなんだろうと刀根さんにまたノックアウトさせられちゃいました(笑)
ひだまりさん。のレビュー、素晴らしかったです。
また、刀根さんの絵本、書いてください←ちゃっかりリクエスト(笑)

2016/04/30 (Sat) 22:00 | EDIT | REPLY |   

ひだまりさん。  

雨降りさんへ。

コメントありがとうございます(*^_^*)
結末、切なかったですね。
最後のイラストがとても綺麗で、鳥の幸せや喜びが感じられました。
だからこそ、よけいに胸が締め付けられます。

自分が思う幸せと、他人が思う幸せは違うのでしょうね。
鳥の喜びが感じられるイラストが少しだけ救いでもありました。
でもやはり主人公には別の形で幸せになって欲しかったです。
私も「声をあげて笑う姿」見たかったです。

刀根さんの絵本、とても素晴らしいですね!
特に『なんにもできなかったとり』は、自分を見ているようで泣けてきました。
共感です。
一生懸命生きていく主人公の姿には、胸を打たれますね。

リクエスト(*^_^*)、ありがとうございます。
・・・実は今 手元にもう1冊、刀根さんの絵本があったりします(*^^*ゞ
そのうちレビューを上げようと思っています。

2016/05/01 (Sun) 00:42 | EDIT | REPLY |   

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