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『ジャッジメント』小林由香 / 憎しみと苦しみの復讐法

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

読書感想ブログです。たまにネタバレするかもしれません。ホームベーカリーGOPANのレシピも扱っています。


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『ジャッジメント』小林由香 / 憎しみと苦しみの復讐法 

小林由香さん
『ジャッジメント』

大切な人が殺された時
あなたは『復讐法』を選びますか?





あらすじ&感想


大切な人を殺された者は言う。「復讐してやりたい」と。凶悪な事件が起きると人は言う。「同じ目にあわせてやりたい」と。犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。目には目を歯には歯を―。この法律は果たして被害者とその家族を救えるのだろうか!?第33回小説推理新人賞受賞。大型新人が世に問う、衝撃のデビュー作!!
―「BOOK」データベースより―

本屋さんで目に止まって買った本。
読み終わっても、まだ余韻が残っています。
なんだろう、このやり切れなさは・・・。

「復讐法」
もし、そんな法律があったら?

読みながらに色んな感情がわきあがってきました。


あなたは『復讐法』を選ぶ?


大切な人を殺された者は言う。
「犯罪者に復讐してやりたい」と。
凶悪な事件が起きると人々は言う。
「被害者と同じ目にあわせてやりたい」と―。



20xx年。
治安維持と公平性を重視した新しい法律が生まれました。
それが「復讐法」です。
裁判によって認められた場合、同じ方法で自らが刑を執行できるというもの。
少年犯罪や、刑法第39条のような心身喪失者などの裁かれない罪にも適用される法律です。

「目には目を歯には歯を」という言葉があるように、もし犯罪に巻き込まれたら犯人にも同じ辛さを味わってほしいと望んでしまうかも・・・。


本書は、復讐法が認められた世界が描かれています。
そこには様々な葛藤がありました。
遺族が自ら刑を執行していくことで、言わば「殺人者」になるわけです。
斬新な世界ですが、どんどん物語に引き込まれます。
もしそんな法律があったとしたら、私はどうするだろう。





被害者遺族の葛藤


この小説は5つの復讐を描いた物語です。

【目次と被害者遺族】
第1章、サイレン (子供を殺された父親。)
第2章、ボーダー (母を実の娘に殺された女性。)
第3章、アンカー (通り魔に殺された3人の遺族。)
第4章、フェイク (息子を殺された母。)
第5章、ジャッジメント (妹を実の母と内縁の夫に殺された兄。)

この法律あっても良いのかもと思い読み始めましたが・・・。
やはり、あってはならない。
5つの物語が描かれているんです。
そのどれもが苦しいんですよね。
絶対ありえない!!・・・と思いながらも止まりません。
これがデビュー作というのだから、すごいです。
全てが辛く苦しいお話でした。

第1章、残忍な手口で息子を失った父親が同じ方法で犯人に刑を執行する様子は痛ましい。
第3章では、通り魔の被害者遺族がそれを選択するかしないかで悩みます。


復讐法を選択した瞬間、執行者となる人間の心に変化が生まれる。犯人に対する憎しみだけだった感情に、『自らの手で殺さなければならない』という強い恐怖心が加わるのだ。



自らが執行しなければいけないという恐怖心。
自分も犯罪者と一緒になってしまうのではないかという複雑な感情も混じっています。

いちばん衝撃だったのが第5章の「ジャッジメント」です。
妹を母と内縁の夫に餓死させられた小学生の兄が、彼女らの刑を執行していきます。
同じ部屋にいて親が餓死するのを見つめているのは、まだ小学生の子供・・・。
ラストは衝撃の結末で幕を閉じました。

いったい何が正しいの?

・・・何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなってきます。
愛するがゆえの復讐。
その法律があることで凶悪な犯罪は減るのかもしれません。
でもやり切れなさが後をひきます。





全てを見つめる応報監察官、鳥谷文乃


短編集ですが、すべて同じ1人の視点から描かれています。
応報監察官、鳥谷文乃の視点です。
応報監察官とは、被害者遺族のお世話や、復讐法を選択した場合に刑の執行を最後まで見守るという、かなりハードな職種。
近くで執行を見守るなんて、自分も壊れてしまいそうです。
それぞれの物語を通して、彼女は答えの出ない問題に悩み続けます。


更生を願う人、復讐する人、罪を赦したいと思う人、自分の死をもって償う人。一体、何が正しいのだろう。



様々な想いを抱えた登場人物たちがいるんです。
復讐にも色んな形があるんだなと思いました。
その全てを見てきた文乃は、章が進むに連れて気持ちが揺らいでいく。
そして最後に出した結論。
とても人間らしい感情に心打たれました。


憎しみと苦しみ


本書を読み終わってみると、こんな世界はイヤだと思いました。
・・・苦しいんですよね。
憎しみは消えることなく被害者遺族の心も満たされていない。
読んでいて、やるせなくなります。

もし私が当事者になってしまったとしたら?

考えずにはいられません。
復讐法を選んでしまうだろうか。
犯人に同じ苦しみを味わってほしいと思いますが、実行は・・・できないんじゃないかな。
そこまでの勇気はないような気がします。
重苦しい物語でしたが、読んで良かったです。




この記事を書いた人って、どんな人?


本を売るならネットオフが便利って知ってた?



復讐, 小説推理新人賞受賞作, ,

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