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『危険なビーナス』東野圭吾/後天性サヴァン症候群とフラクタル図形

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『危険なビーナス』東野圭吾/後天性サヴァン症候群とフラクタル図形 

東野圭吾さん
『危険なビーナス』

失踪した弟の嫁に会った瞬間、
俺は雷に撃たれた





あらすじ&感想


弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。
―「BOOK」データベースより―


面白かった~。
止まらず一気に読んでしまいました。
ただ、オチはちょっと呆気にとられてしまいましたが。

東野圭吾さんの本でマイベストは、『白夜行』『手紙』『流星の絆』の3つです。
この3作品に至っては、甲乙つけ難いくらい心に響きます。
残念ながら本作『危険なビーナス』は、マイベストには入りませんでしたが、それでも楽しく読めました。

今回、物語に盛り込まれていたのは才能と脳科学。
そして『危険なビーナス』というタイトルからも想像できるように、魅惑的な女性が登場します。

※ 少しだけネタバレあります。


東野圭吾さん
『危険なビーナス』のレビュー


危険な恋


主人公、伯朗は動物病院ではたらく獣医。
彼の前に、カーリーヘアのほどよく肉感的で魅力的な女性が現れました。
楓と名乗る彼女は、彼の弟である明人の妻だったのです。

失踪した弟の無事を祈り、明人の実家の矢神家について調べ始める2人。
そんな中、伯朗はカエデに恋をしてしまいます。
本書のタイトルの『危険なビーナス』というのは、言うまでもなく楓をさしています。
「危険な」とはどういうことかと、想像をめぐらせながら読んでいました。

伯朗は、すぐに人を好きになってしまうタイプでした。
東野さんの小説では珍しく、登場人物があまり好きになれなかった・・・(^^;)
楓よりも、主人公と同じ動物病院で働く、助手の蔭山元美の方が魅力的に思えるのは気のせいかしら。

・・・それはともかく、伯朗はどんどん楓に惹かれていくんです。


「ごめん、好きにならずにはいられない」



そんな中、彼にライバルが現れます。
矢神家の愛人の息子、勇磨。
子供みたいに嫉妬してしまう主人公の心理描写を読みながら、こんな男イヤだなと思ってしまいました。
失踪した明人の行方も気になることながら、この恋がどんな形で終結するのかも目が離せません。





後天性サヴァン症候群


本書では、後天性サヴァン症候群について書かれています。
東野さんの作品は、こういう才能や科学に関するものを物語に絡めているから面白いんですよね。
今回は脳科学です。

サヴァン症候群(サヴァンしょうこうぐん、英語: savant syndrome)とは、知的障害や発達障害などのある者のうち、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する者の症状を指す。
―Wikipediaより引用


サヴァン症候群を扱った映画といえば『レインマン』がありますね。
ダスティン・ホフマンが演じる主人公が、床に落ちた数百本の楊枝を一瞬にして数えるという才能を発揮します。
こういう才能は様々で、一目見た風景を完璧に描けたり、1度聞いた音楽を完璧に再現したり・・・。
すごいですよね。
いったい彼らの脳はどうなっているんでしょうか?

左脳は思考・論理を司るところで、右脳は知覚や感性を司るところといいます。
まだ解明されてはいないようですが、サヴァン症候群の多くは、知的障害や発達障害がある人たちに見られるものだから、左脳のかわりに右脳が発達したんですかね。
・・・ちょっと興味深いです。



この物語で描かれているのは、後天性サヴァン症候群なるものです。
生まれつきではなく、後から発症するもの。
例えば、事故などで脳に損傷を受けたりした場合、稀にそんなことがあるようです。

そういう才能って、もしかしたら潜在的にみんな持っているのかもしれませんよね。
もし仮に、脳に電気ショックを与えることで、その能力を引きだせたなら・・・。
知的障害などなしに、才能が芽生えるかもしれません。
そう考えると夢が広がります。
私は絵が下手なので、風景画とかを完璧に描いてみたいものです。
・・・本書を読みながら、そんなことを考えていました。


フラクタル図形


後天性サヴァン症候群とともに、私が本書で気になったのがもう一つあります。
それはフラクタル図形というものです。

フラクタル(仏: fractale, 英: fractal)は、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念である。ラテン語fractus から。 図形の部分と全体が自己相似になっているものなどをいう。
―Wikipediaより引用


・・・うーん、よくわからない。
この小説の中で、わかりやすくフラクタル図形を説明している文章がありました。


小さく切ったカリフラワーをよく見ると、ちぎる前の姿とほぼ同じ。これをさらに小さくちぎっても、拡大して見たら元の姿と同じ。こういうのを数学ではフラクタルというんだそうです。



・・・なるほど。
そういう風に説明されると、カリフラワーもブロッコリーもなんとなく面白い。
確かにちぎっても同じ形ですよね。

他にはこんな図形もフラクタルです↓





不思議な雰囲気がある図形です。
まれに後天性サヴァン症候群を発症した人が目にするものが、このような図形に見えることがあるようです。
木や葉っぱなど、自然界はフラクタルで溢れているのかもしれません。
雪の結晶もそうなのかな。





このお話では、伯朗の実父が後天性サヴァン症候群でした。
彼は亡くなる間際、1枚の不思議な絵を描いていました。
そしてその絵には、ある秘密があったんです。


「寛恕の網」に隠された秘密


母の遺品の中にあった1冊のアルバム。
最後のページには、明らかに写真が剥がされた跡がありました。


あの絵だ、と伯朗は確信した。一清が死ぬ間際まで描き、とうとう完成しなかった絵だ。実物は見つからず、写真も消えているということか。



伯朗の実父、手島一清が最後に描いていた絵。
タイトルは「寛恕の網」です。
それは素数に関係があるもので・・・。
数学に疎い私には、この辺り少し難しかったです。

その絵によって、人生が狂ってしまった人物がいました。
悲しい幕引きです。
母の死の真相、楓の正体、「寛恕の網」に隠されたもの、明人の行方・・・。
すべての謎が一気に解決されます。


あっさりとした結末


結末は少し拍子抜けしました。
・・・そうきましたか。
ちょっとあっさりしすぎのような気もします。

ストーリーも良かったですが、脳科学の方がとても気になり興味深々です。
やっぱり東野作品は、こういう要素が魅力ですね。


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東野圭吾, , サヴァン症候群, フラクタル図形,

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