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『デトロイト美術館の奇跡』原田マハ/「マダム・セザンヌ」への想い

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『デトロイト美術館の奇跡』原田マハ/「マダム・セザンヌ」への想い 

原田マハさん
『デトロイト美術館の奇跡』

助けたいんです。この絵を。





あらすじ&感想


ゴッホ、セザンヌ、マティス。綺羅星のようなコレクションを誇る美術館が、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきか?全米を巻き込んだ論争は、ある男の切なる思いによって変わっていく―。アメリカの美術館で本当に起こった感動の物語。『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』の系譜を継ぐ珠玉のアート小説。
―「BOOK」データベースより―

原田さんのアート小説は、やはり心に響くものがあります。
今回は100ページちょっとと少し物足りなさを感じましたが、実話を元にして描いているということで興味深く読めました。

10月7日~東京の上の森美術館で『デトロイト美術館展』が開催されていますね。
本書を読むと行きたくなってしまうんです。
本には割引券が入っていましたが、私は札幌住まいなので残念ながら行けない・・・。
美術館に行く予定のある人に、ぜひ読んで貰いたい一冊です。

【目次】
第1章 フレッド・ウィル《妻の思い出》2013年
第2章 ロバート・タナヒル《マダム・セザンヌ》1969年
第3章 ジェフリー・マクノイド《予期せぬ訪問者》2013年
第4章 デトロイト美術館《奇跡》2013 ― 2015年


原田マハさん
『デトロイト美術館の奇跡』のレビュー


デトロイト美術館 売却!?


本書は、実話を元にして描かれていています。
どういうことかというと・・・

アメリカのミシガン州 デトロイトにある美術館 (Detroit Institute of Arts、通称DIA)。
2013年夏にデトロイト市が財政破綻し、その穴埋めのためにデトロイト美術館にあるコレクションを売却するという話が持ち上がります。

売却!?
確かに美術品は高額ですからね・・・。

でも美術館に親しんできた市民や国内外の人たちの協力で、デトロイト美術館のコレクションは守られ、1枚も売却せずにすんだという感動秘話。
それを元に描かれたのが『デトロイト美術館の奇跡』です。
・・・そんなことがあったんですね。
原田さんの小説を読んで初めて知りました。


ポール・セザンヌ「マダム・セザンヌ」


私が今まで読んだ原田さんのアート小説はこれで3冊目です。
3冊とも有名な絵画をめぐるお話でした。
『楽園のカンヴァス』ではアンリ・ルソーの「夢」を、『暗幕のゲルニカ』ではパブロ・ピカソの「ゲルニカ」を、そして本作に出てくる絵画。
今回はポール・セザンヌの「マダム・セザンヌ」という油彩画をめぐるお話でした。

油彩画「マダム・セザンヌ」は、セザンヌが自分の妻 (オルタンス) を描いたものです。
彼は生前、何枚も妻を描いたようですね。
その中の1枚、青い服を着たセザンヌ夫人の肖像画。
この本の表紙にもなっています。





絵全体にはずっしりとした重みがあり、大地に根を張る樹木のようだった。それなのに、絵の中の彼女はいとも軽やかに浮かび上がって見える。



原田さんの文章を読んでいると、何回も絵を眺めたくなってしまう。


―なんと気難しい、一生懸命な顔をしているんだろう。彼女は、聖母でも女神でもなければ、姫君でも貴婦人でもない。ごくふつうの、どこにでもいるような女性だ。



・・・そうなんですよね。
絵を見る限り、特別キレイでもないし笑顔がステキってわけでもない。
むしろムッツリしているように見えます。
でもなんか気になって目が離せない不思議な絵。

次の文章が印象的でした。


けれど・・・・・・。このままずっと、いつまでもみつめられたい。そして、みつめていたい。



本を読む前はこの絵の良さがよく分かりませんでした。
でも原田さんのこの言葉を読んだ時に、ジッと絵を見つめると、なんだか私も見つめられたいと思ってしまいました。


アートは友だち


第1章~4章までの本作。
私が感動したのは、第1章 フレッド・ウィル 《妻の思い出》2013年 でした。

フレッドの妻ジェシカとの思い出のデトロイト美術館(DIA)。
ジェシカは1人で美術館に通っていましたが、フレッドが仕事を解雇されたときから2人で美術館に行くのが日課になりました。
亡くなったジェシカが言った言葉が素敵なんです。


アートはあたしの友だち。だからDIAは、あたしの「友だちの家」なの。



デトロイト美術館がこんなにも市民に愛されていた理由が、この言葉から伺えますよね。

素敵なアートに会いに行く。きっと市民もこんな気持ちだったんじゃないかな。

親しみやすさが伝わってきます。

そしてフレッドが特に気に入った絵は「マダム・セザンヌ」でした。
その絵はどこか妻に似ているから・・・。
やがてジェシカの病気が進行し、最後にその絵の前で交わした約束にジーンとしてしまいました。

・・・それは書かないでおきますね。





絵画への想い


アートを友だちと言ったジェシカとの思い出を胸に、フレッドはその想いをDIAのキュレーターであるジェフリー・マクノイドに伝えます。


助けたいのです。―友を。



その思いに胸を打たれました。
これは原田さんの創作なのかな。
デトロイト美術館のアートを守ろうとした市民たちは、こんな思いでいたのかもしれませんよね。
・・・それが叶って良かったと心から思いました。

薄い本なのですぐ読めてしまいますが、そこには濃縮された想いが詰まっていました。
素敵な本です。


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この記事を書いた人って、どんな人?
アート, デトロイト美術館, セザンヌ, 実話,

3 Comments

ひだまりさん。  

拍手コメ Kさんへ。

ありがとうございます(*^^*)
表紙のセザンヌ夫人の絵にひきつけられますよね。
実話と聞くと、なんだか感慨深いものを感じます。
市民に親しまれているデトロイト美術館。
読むと行ってみたくなるんですよね(*^^)

2017/03/27 (Mon) 10:04 | EDIT | REPLY |   

ひだまりさん。  

拍手コメ Kさんへ。

ありがとうございます(*^^)
素敵な本でしたよね!
さすが原田さんです。

本を読んで励まされたり、希望が持てたりすること、私もあります。
そんな時、つくづく本を読む人間でよかったなと思います(*^^*)

2017/03/27 (Mon) 23:31 | EDIT | REPLY |   

ひだまりさん。  

拍手コメUさんへ。

ありがとうございます(*^^*)
原田さんは、絵画を言葉で伝えるのが上手い作家さんですよね。
私もセザンヌ夫人や、アンリルソーの「夢」、ピカソの「ゲルニカ」を間近で見たくなりました。
本当に楽しい読書のひとときです。

『風のマジム』、まだ読んでないのですよ。
美味しそうなラム酒がでてくるんですね。
これは読まなければ(*´∀`)

2017/04/21 (Fri) 14:26 | EDIT | REPLY |   

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