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『黒ねこ』綿矢りさ/100万回生きたねこ版、ポーの「黒猫」

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『黒ねこ』綿矢りさ/100万回生きたねこ版、ポーの「黒猫」 

第10話、綿矢りささん
『黒ねこ』

僕の名前はプルート。
人間の心の機微がよく分かる、
頭の良い猫だと思う。


「100万分の1回のねこ」より





あらすじ&感想


僕の名前はプルート。人間の心の機微がよく分かる、頭の良い猫だと思う。ある日、飼い主の夫婦喧嘩の末、動かなくなったお母さんをお父さんは僕と一緒に壁に埋めて・・・。


「100万分の1回のねこ」10話目のレビューは、綿矢さんの『黒ねこ』です。
綿矢さんが描く猫は、少し生意気。
でも可愛さがありました。
怖いお話なのに、サラっと読めてしまう。
とても読みやすかったです。

このお話は、ある有名な海外作家さんの作品をイメージして書かれたそうです。
綿矢さんが描くとそこまで怖くなく、猫の可愛さが際立っていました。

※ ネタバレあります。


綿矢りささん
『黒ねこ』のレビュー


エドガー・アラン・ポーの「黒猫」


このお話のイメージ元は、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」という短編です。

「黒猫」(くろねこ、The Black Cat)は、1843年に発表されたエドガー・アラン・ポーの短編小説。酒乱によって可愛がっていた黒猫を殺した男が、それとそっくりな猫によって次第に追い詰められていく様を描いたゴシック風の恐怖小説であり、ポーの代表的な短編の一つ。
―Wikipediaより引用


ポーの「黒猫」も気になって読んでみましたが、やはり恐怖小説だけあって怖かったです。
綿矢さんの描いたものとは、また別物という感じがしました。
妻を殺してしまった夫が、壁の中に彼女を埋めようとして知らずに猫も一緒に埋めてしまい、猫の鳴き声でバレてしまう・・・というストーリーは同じですが。

綿矢さんの短編は、ねこ目線で描かれていて、それが可愛いんですよね。





生意気で可愛いプルート


主人公の名前は、プルート。
飼い主である両親はケンカの絶えない夫婦でした。
その仲裁役をしていた彼。


どちらかの血管が切れて倒れてしまうまえに、ニャオウンと鳴いて僕の登場さ。まったく、猫に気を遣わせるなんて、ありえないよ。



(ΦωΦ)フフフ…。
ちょっぴり生意気だけど、飼い主想いの可愛い黒猫。
だからか、全然、怖さを感じません。
逆に微笑んでしまいます。
殺されてしまったお母さんを壁に埋めるシーンも、プルートの優しさが伝わってきました。


だってひどいじゃないか。普通はどんな動物でも寝転がって永遠の眠りにつきたいものだ。(中略) 腰と足を悪くしていて、座るたびに、ほっとしたため息をついていたあの母さんが、立ったまま埋められるなんて、僕は見ていられなかったんだ。



確かに。
足が悪い母さんが立ったままなんて可哀想ですね。
でも、それで思わず穴に飛び込んだ彼は、一緒に埋められてしまうんですよね。
・・・残酷。


油断した父さん


やがて警察が調べに来た時、油断した父さんは「ここの壁はがんじょうに作ってありますよ」と、壁をたたいてしまう。
それで猫が鳴き、犯行がバレるという、ちょっとおバカな成行きです。

やっちゃダメだとわかっているのに、そういうのって、やってみたくなるもの。
そんな人間の心理が上手く書かれています。
・・・でも結局、自分で墓穴をほったんですね。
悪い事はできないものです。

そして、プルート! 無事だった!
良かったぁ・・・と安堵のため息がでました。





もしかすると、あのネコも・・・


僕の話は小説家の手によって、けっこう世界規模で有名になったらしいけど、おどろおどろしい脚色をされたみたいで、怪奇小説として出回ってるそうなんです。



綿矢さんは佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』を読んで、100万回のなかには、有名猫の一生も含まれているのでは?と思ったようです。
それで、ポーの「黒猫」もそうかもしれないと思い、書いたのが今回のトリビュート作品。
・・・面白い発想ですよね。

もし、佐野さんの絵本の、あのトラ猫が、エドガー・アラン・ポーの短編「黒猫」のプルートとして生まれ変わっていたなら・・・。
綿矢さんが描く、少し生意気で可愛い主人公のような感じなのかもしれません。

ポーの「黒猫」があり得るのなら、私が小さいころ読んだ絵本「11ぴきのねこ」のだれかの時もあったのかもしれませんね。
・・・とらねこ大将かな。
楽しい想像が膨らみました。


『100万分の1回のねこ』13人の作家
江國香織 、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎


こちらも一緒にどうぞ。
・佐野洋子さんの絵本のレビュー
*100万回生きたねこ*



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