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『楽園 』(上) 宮部みゆき/ライター前畑滋子ふたたび!「模倣犯」続編

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

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『楽園 』(上) 宮部みゆき/ライター前畑滋子ふたたび!「模倣犯」続編 

宮部みゆきさん
『楽園 』(上)

「模倣犯」から9年―。
少年が描いた絵の真相とは・・・。





あらすじ&感想


未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が“超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。
―「BOOK」データベースより―


『模倣犯』から9年。
続編というよりはスピンオフのような物語です。
この間『模倣犯』のドラマを見て、続編である『楽園』も読みたくなってしまいました。
以前に読んだのがかなり前だったので、ほとんど忘れていた私は新鮮な感じで読めました。

前作で見事にピースの悪事を暴いたライター・前畑滋子、再び。
上下巻と読み終わりましたが、悲しみが後をひきます。
最後に書かれていた東雅夫さんの解説を読んで、これは彼女の・・・いや彼女だけではなく、誠子や土井崎夫妻、そして荻谷敏子、登場人物それぞれの「喪の仕事」なのではないかということに気づきました。
それについては次回、下巻のレビューで触れることにします。

まずは上巻のレビューです。
※ 少しだけネタバレあります。


宮部みゆきさん
『楽園 』のレビュー


等が描いた不思議な絵


本書は、一つの大きな事件を軸に展開されます。
きっかけは、ある奇妙な依頼でした。
荻谷敏子の亡くなった一人息子、等には超能力があったのではないか、それを調べてほしいというものです。

等が描いた不思議な絵。


家の絵だった。ページの真ん中に、やっぱり三角と四角を組み合わせた形の、簡素な家が描いてある。ただ、さっき見た絵と違い、屋根は灰色、家は茶色で、さらに大きな窓があった。その窓の奥で、女の子が眠っている。



顔は灰色に塗りつぶされていて、まるで女の子は生きていないよう・・・。
その家の屋根には「バットマン」のマークのような蝙蝠の風見鶏がついていました。
そして、その家は人殺しがあった家だというんです。


先生、覚えておいでですか。先月のことですけど、北千住の方で家が焼けて、その焼け跡を調べたら、地べたから骨が出てきたって事件がありましたね



どうやら等くんは、事件が発覚する以前から行ったこともないこの家の絵を描いていたようです。
まるで、そこに少女が埋められているのを知ってるかのように・・・。

前作「模倣犯」ではヒロミが姉の幽霊を見たりしましたが、今回は超能力ときましたか。
・・・現実とはかけ離れてるような気もしますが、面白くて読むのをやめられないんですよね。
等くんは、本当に超能力の持ち主!?
このことがきっかけとなり、滋子はその事件を調べはじめます。





心の闇


等が描いた絵の眠っている少女は、土井崎茜でした。
土井崎夫妻が殺して埋めた実の娘です。
その家族にいったい何があったのでしょうか?


なぜ、自ら手にかけた娘の亡骸を床下に、十六年も同じ場所で暮らしてゆくことができたのか。そのあいだには、楽しいこともあったろう。残った次女と家族三人で、笑い転げたこともあったろう。(中略) その足元には常に、長女の屍骸が埋もれているのに。



夫妻の心情はどういったものだったのでしょうか。
なぜ彼らは自分の娘を手にかけてしまったのか・・・。
最後に真相は明かされますが、それはやり切れないものでした。

・・・たぶん、茜のように上手く折り合いがつけられずに、非行に走ってしまう子供はたくさんいるんだろうな。
ほんの少しのすれ違いがとんでもない事になってしまう。
そこにヒヤリとしました。
『模倣犯』もわりと残酷な物語でしたが、『楽園』も・・・。

上巻では様々な謎が描かれています。
その答えは下巻で明らかになるのですが、茜の事件は思いもよらない真相が明らかになって、途方もなく悲しくなりました。


よみがえる山荘の記憶


本書では、9年経った今も立ち直れない滋子の心情が描かれていました。
あの誘拐事件は悲惨すぎた。
そんな彼女が目にした1枚の絵。
・・・それも等が描いたものでした。


滋子はこの家を知っていた。首筋と二の腕に、ぞわりと鳥肌が浮いた。"山荘"だ。この家のフォルム。窓の位置。見間違えるはずがない。あれから一日だって忘れたことはないのだから。



あの"山荘"です。
ピースの、網川の母が所有していた別荘。
『模倣犯』の舞台にもなりました。
この部分を読んだ時に、私もぞわりとしてしまいました。
『模倣犯』は私の中ではかなり衝撃的な作品でした。
先日ドラマも見ましたが、やはり本には敵わない。
宮部みゆきさんの作品の中では、私が好きな作品上位に占めるほどですが、かなり残酷な物語です。
『楽園』を読むにあたって、やはり前作は切り離せないですよね。

・・・そう言えば、初めて『楽園』を読んだ時、前作の続編だと思い込んでいたので少し肩透かしを食らった記憶があります。
本作のメインは、あくまで茜の事件と等の不思議な能力なんです。
なので "山荘"については、ほんの少しの描写ですが、彼女があの誘拐事件とどう折り合いをつけていくのかも上巻の読みどころです。





1人残された者


私が思わず涙したところがあります。
土井崎夫妻の次女、誠子の思いが書かれているシーンです。


「本当のことを知りたいんです。両親がなぜ姉を殺したのか。どうしてそういうことになってしまったのか。姉がどんな女の子だったのか。どうしても知りたいんです。わたしには、本当のことを知る権利があるでしょう?」



親からは何も真実を教えて貰えないまま1人残された誠子。
知りたいと思うのは当然の心境ですよね。
土井崎夫妻が警察に告白したことで、殺人者の娘となってしまった彼女は、それが元で離婚をしなければなりませんでした。
姉のことも、どうしてそんな事に至ったのかも知らないままに・・・。

あの日、どうして両親は茜を殺されなければならなかったのか?
・・・私も知りたい、そう思いました。


他人の記憶を「見る」


もしも等に特殊な能力、他人の記憶を「見る」力があったとしたら・・・。
ちょっと想像してしまいました。
どんなにか怖かっただろうと。
山荘の記憶や、茜事件の記憶・・・。
怖いものばかりじゃなくて、例えばお母さんと共有するような楽しいものもあったんだろうけど辛い。

そして息子に先立たれた敏子の心情も、痛いほどです。
本書を読んでいると、次から次へと悲しみがわいてくるんです。
この本はすごいですね。
心に刺さる。


子供のためのボランティア団体、あおぞら会に目をつけた滋子は、そこで話を聞くうちに、等の能力は本当にあったのではないかと確信に至ります。


あたしは認めた。完全に河を渡って対岸に立った。荻谷等は異能者であったと。もう、道はそれしかないのだ。他に考えようがない。迷いようもない。



等には他人の記憶を「見る」能力が、本当にあったのでしょうか?
だとしたら、彼はだれの記憶から茜が埋められているのを知ったのでしょうか?

上巻はまた良いところで終わるんですよね。
結末が気になる。
下巻のレビューに続きます。
*楽園 (下)*


** 拍手コメントRe:**(10/21)
Kさんへ。
ありがとうございます(*^_^*) ありましたかぁ。ちょっと残酷ですが、面白いのでぜひ(*´∀`)

** 拍手コメントRe:**(10/23)
Kさんへ。
ありがとうございます(*^_^*) ドキドキの展開ですよね!宮部さんの長編は間違いなく面白いです(*^^*)

** 拍手コメントRe:**(10/25)
Kさんへ。
ありがとうございます(*^_^*) 読み終わったんですね~。下巻も目が離せない展開ですよ! 寝不足にならないように気をつけてください(*^^)
** ひだまりさん。**


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宮部みゆき, 前畑滋子, WOWOWドラマ,

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