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『タイムマシンでは、行けない明日』畑野智美/ねじれた過去と未来

*ひだまりさん日記* ~晴れ 時々 読書とパン~

読書感想ブログです。たまにネタバレするかもしれません。ホームベーカリーGOPANのレシピも扱っています。


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『タイムマシンでは、行けない明日』畑野智美/ねじれた過去と未来 

畑野智美さん
『タイムマシンでは、行けない明日』

十五歳の僕は、死んだ。
でも、僕は生きている。





あらすじ&感想


ロケットの発射台がある、南の島。高校1年生の丹羽光二には、長谷川葵という気になる同級生がいた。彼女は初デートの日、「ロケット飛ばして、金星まで会いにきて!」という言葉を最後に、光二の前から永遠に姿を消した、はずだったが―。もう一度、会いたい!恋した少女を救うため、タイムマシンに乗って、“あの日”を変えようと奔走する理系男子。世代を超えて胸を打つ、SF恋愛小説!
―「BOOK」データベースより―

面白かったです!
括りでは SF恋愛小説?ですが、それだけでは終わらない深さがあるんです。
そして物語の展開に目を見張りました。
それがなんだか新鮮で、こういう展開もあるのかと唸ってしまいました。

※ 少しだけネタバレあります。


畑野智美さん『タイムマシンでは、行けない明日』のレビュー


もしも、過去に行けたなら


誰しも1度は過去を変えれたら・・・と願ったことがあるのではないでしょうか?
あるいは未来に行ってみたいと思ったり。

もしも、あの時ああしていたら、
今とは違った未来が訪れるかも。


私も思うときがあります。
後悔したときに。
そう願う時って今がどん底で、過去をかえたらきっと今よりも良くなると思っている。
でもこの物語を読むと、決してそうではないんだなと思いました。
もしかしたら、過去を変えることで取り返しのつかないことになるかもしれません。


主人公、丹羽光二には忘れられない過去がありました。
目の前で好きな人が事故死する。
そして、彼はタイムマシンで過去に行くんです。
長谷川さんを救うために。


あの時の長谷川さんに会いたい。僕の気持ちを伝えて、彼女の気持ちを知りたい。そして、事故が起きないように過去を変えるんだ。



まだ好きという気持ちを伝えていないまま、彼女はいなくなってしまったから。
彼の引きずる気持ちも理解ができます。
この展開はよくあるパターンですが、それだけでは終わらないのが本書なんですよね。





無数に存在するパラレルワールド


この小説の面白いところは、タイムマシンで過去に行った僕のその後の展開にあります。
長谷川さんを救うはずが・・・、


十五歳の僕は、死んだ。でも、僕は生きている。



なんと、長谷川さんのかわりに僕が死んでしまうのを目撃します。
混乱の末、元の時代に戻ろうとする光二。
えっ!!
でも戻ったら、彼は消滅してしまうんでない!?
だって彼はあの事故で死んだはず。
・・・とハラハラしながら読んでいました。

そして彼がたどり着いた場所。
そこは、彼が死んでいる世界でした。
この展開が新鮮で面白いんです。
パラレルワールドみたいな感じかな?
私にとっては予想外で、でも過去を変えてしまったら確かにこんな展開になるのかも・・・と1人で納得していました。

世界には無数にパラレルワールドが存在しているのかもしれません。
そう思うと不思議な感覚になります。
でも普通は、その無数の世界は別々に進んでいくから認識することはありませんよね。
光二はタイムマシンを使って、それをねじ曲げてしまいました。


僕がいない世界


僕がいなくて、長谷川さんが生きている世界。
あの事故から光二がいない世界だから、あの事故の後も生きてきた光二から見れば全く別世界です。
大学で知り合った魚住さんもいなければ、友達もだれもいない。
いや実際には同じ世界に生きているんだけど、魚住さんは光二の知らない人生を歩んでいます。
そして、光二は死んだことになっている・・・。

想像すると恐ろしいです。
長谷川さんを救いたい一心でかえた過去が、とんでもない事態をひきおこしてしまいました。
・・・こういうこともあり得るんですよね。
展開に驚愕して、彼はこれからどうするんだろう?・・・と、読むのを止められませんでした。





失ってから気づく大切なこと


タイムマシンを発明した井神教授、付き人の夜久くん、魚住さん、遊佐くん・・・。
個性溢れるキャラは温かみがあって、楽しく読めます。

そして、SF恋愛小説に留まらない深さがあるんです。


わずらわしくて、自分だけではどうすることもできないことがあるから、人生は輝く。



この世界に来て彼が気づいたことです。
過去をかえる前はわずらわしく感じていた人間関係も、今思えば愛に溢れていて幸せだった。
時の流れからはみ出してしまった光二ですが、それによって周りの人たちの思いに気づきます。
大切なことは失ってから気づくんです。
ちょっぴり切ないけど、なんだかすごく実感がこもっていて心に刺さりました。


出会うべく人


いたる所に伏線がちりばめられていて、その一つ一つがちゃんと回収されています。
最後には全てが1本の線でつながっていく。
描き方がとても上手いなと思います。

もし過去をかえて未来が変わってしまっても、出会うべく人とはちゃんと出会うんですね。
そこに安堵を感じました。
人だけじゃなくモノも。
三島由紀夫の『美しい星』や、黄色い星のキーホルダー、最後に戻るべくところに収まったときには嬉しくなっちゃいました。

最後にひとこと。
魚住さんのおにぎり、食べたいです(*^^*)



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この記事を書いた人って、どんな人?
SF,

2 Comments

焼酎太郎  

おつかれさまでございますね(*´∀`)
確かに、魚住さんのおにぎり食べたいです。
それでオチつけるひだまりさん。さすがだね♪

これが大丈夫ならば
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」七月隆文
もイケるかもしれませんよ! SFです。

もっとも、ちょっと甘いので、ひだまりさん。が、かみなりさん。
になる可能性もありますが・・・

2017/05/17 (Wed) 19:17 | EDIT | REPLY |   

ひだまりさん。  

焼酎太郎さんへ。

お疲れさまでございます♪
おにぎりが、気になって気になって。美味しそうで(*^^*)

素敵な本を紹介していただき、ありがたいです。
コメントも(*^o^*)
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」、よく見かけます。
恋愛もの?と思っていたのですが、SFな要素もあるのですね。
気になります。

甘いのかぁ。
たまに甘々なのも読みたくなるんですよねー。
かみなり、落ちなければいいですが(*^^*)

2017/05/17 (Wed) 21:11 | EDIT | REPLY |   

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