『スロウハイツの神様』辻村深月/チヨダ・コーキとスロウハイツの住人たち

いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。いつか、終わりが来て、それが来ない場合には、きっと形が変容していく。

辻村深月さん『スロウハイツの神様』
文庫版の上下巻です。『かがみの孤城』を読み終わったときに、「スロウハイツの神様を超えた面白さ」 と書いていた人がいて、それも面白いの?・・・と気になっていたんですよね。

正直、上巻を読んだ時には 「これはハズレ?」 と思いました。普通・・・。可もなく不可もなくといったところです。でもレビューの評価がめちゃくちゃ高いんですよね。不思議に思いながらも下巻へ。そして読み終わった時・・・。

泣いていました!しかも号泣です。

読み終わって、評価が高いのがうなずける。これはなんというか、すごいですね。読み始めと終わりでは、感じ方がガラッと変わりました。あ然とします。・・・途中でやめなくて本当に良かった。

『スロウハイツの神様』あらすじ

必ずラストに号泣する!

『スロウハイツの神様』 オススメ度 : 感動          : 意外さ       : 読みやすさ :

【あらすじ】
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ―あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。―「BOOK」データベースより―

『スロウハイツの神様』感想

上巻と下巻の面白さが全然ちがう。・・・なんなんだろう、この差は。たくさんの伏線が散りばめられているんですけど、それが後半で一気に回収されるんです。

読み終わったときに号泣する

ラストは必ず号泣する

最終章の 「二十代の千代田公輝は死にたかった」 がとても素晴らしかったです!!この章あっての物語なんじゃないでしょうか。初めの つまらなさが嘘みたいです。

「―お久しぶりです」

環に会ったときのコウちゃんのひとことに、こんな深い意味があったんだなと、涙が止まらなくなりました。これは間違いなく号泣します。

スロウハイツの住人たち

このお話は 「スロウハイツ」 というアパートで繰り広げられます。

主人公は 赤羽環。アパート「スロウハイツ」のオーナー兼、脚本家です。

【スロウハイツの住人】
  • 赤羽環・・・脚本家、スロウハイツのオーナー。
  • 千代田公輝・・・202号室に住んでいる人気作家、チヨダ・コーキ。
  • 黒木智志・・・千代田公輝の編集者。
  • 狩野壮太・・・漫画家の卵。
  • 長野正義・・・映画監督の卵。
  • 森永すみれ・・・画家の卵。
  • 円屋伸一・・・環の親友。密かに漫画家を目指している。
  • 加々美莉々亜・・・自称小説家。チヨダ・コーキのファン。

シェアハウスみたいですね。藤子不二雄たちが住んでいたトキワ荘をイメージしているようです。住人たちの流しそうめんパーティ (?) のシーンなんかは、楽しそうで良いなと思いました。

前半はそれぞれの日常や過去などが描かれています。特におおきな盛り上がりはなく淡々と。ひだまりさん。は少し退屈してしまいました ^_^;読み終わってみると、ここの部分があるから最後が生かされるのかなとも思います。すべて分かった上でもう1度読み直すと面白いのかもしれません。

きっと誰もが好きになる、チヨダ・コーキ

この物語で欠かせない人物

千代田公輝。人気作家のチヨダ・コーキです。

読み終わったときに間違いなくみんな好きになるであろう人物。ひだまりさん。も例外ではありませんでした。

この人、おじさんなんですが、なんというかとても純粋で子どもみたいな人なんです。

初めから好感が持てました。そして最終章を読んでからもっと好きになる。子どもみたいでいて、でもちゃんと人の痛みを理解してあげられるひと。その彼が言ったひとことが素敵でした。

いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。いつか、終わりが来て、それが来ない場合には、きっと形が変容していく。

楽しいときは、それがずっと続けばいいのにと思う。でも苦しいときは、この苦しみがずっと続くような気がする。

「いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。」 と言った公輝のことばに少し救われる気分になりました。苦しいときに思い出したい言葉です。

コーキの天使ちゃん

チヨダ・コーキについて

チヨダ・コーキについては、最終章 「二十代の千代田公輝は死にたかった」 に、彼の人柄が描かれています。編集者の黒木が、面白可笑しくコウちゃんの話をしていたことがこの章に繋がっていくんです。

例えば、いきなり買ってすぐ人にあげてしまった大型テレビのことや、クリスマスに大量に買った 「ハイツ・オブ・オズ」 の高級ケーキのこと。

前半だけを読むと、千代田公輝、ちょっと変わった人?・・・と思うのですが、それらにはちゃんと理由があったんです。コウちゃんの心にはずっと 「コーキの天使ちゃん」 がいたんですね・・・。

これは恋愛ものだなぁ。

人を想う気持ちは尊いものです。コウちゃんのエピソードひとつひとつに理由があって、号泣しました。

そして好きな作家さんの新刊を読むことは、ひだまりさん。にとっても楽しみのひとつです。ときに生きる希望にすらなりえる。「コーキの天使ちゃん」 の気持ちがわかるような気がしました。

長すぎる序章

読後感がものすごく良いんですよね。すべてがラストに繋がっていくのはすごかった。『かがみの孤城』を読んだ時にも感じたのですが、辻村さんは伏線の回収が天才的にうまいなと思います。

ただ、前半にもう少し盛り上がりがあったら良かったのにと思います。

最終章 「二十代の千代田公輝は死にたかった」 とエピローグだけが ずば抜けて良くて、あとはそれを引き立てる序章のような感じが否めません。序章にしては長すぎる・・・。これがもし上下巻ではなくて1冊だったら、そこまで感じなかったのかもしれませんが。

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コメント 1

There are no comments yet.
ひだまりさん。  
拍手コメ Kさんへ。

ありがとうございます(*^^*)

環、他の本にも出てくるんですかー。
辻村深月さんの本は、登場人物がリンクしているものが多いんですね。
読む順番を間違えると、お話が分からなくなりそうです。

それにしても『スロウハイツの神様』は号泣しました。
展開に優しさがあふれていますよね。

2017/07/11 (Tue) 13:58 | EDIT | REPLY |   

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