『神の値段』一色さゆり/ 川田無名 「1959年 幻の作品」 をめぐるアート小説

人前に一切姿を見せない世界的な現代美術家・川田無名。その正体を知るギャラリー経営者が何者かに殺された―。

一色さゆりさん『神の値段』
Twitterで感想をあげていた方がいて面白そうだなと思い読んでみました。このミス大賞、アート・ミステリーです。

『神の値段』あらすじ

このミス大賞、アート・ミステリー!

『神の値段』 オススメ度 : 感動 : 意外さ : 読みやすさ :

【あらすじ】
メディアはおろか関係者の前にも一切姿を見せない現代美術家・川田無名。彼は、唯一つながりのあるギャラリー経営者の永井唯子経由で、作品を発表し続けている。ある日唯子は、無名が1959年に描いたという作品を手の内から出してくる。来歴などは完全に伏せられ、類似作が約六億円で落札されたほどの価値をもつ幻の作品だ。しかし唯子は突然、何者かに殺されてしまう。アシスタントの佐和子は、唯子を殺した犯人、無名の居場所、そして今になって作品が運びだされた理由を探るべく、動き出す。幻の作品に記された番号から無名の意図に気づき、やがて無名が徹底して姿を現さない理由を知る―。2016年第14回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。美術ミステリーの新機軸!―「BOOK」データベースより―

『神の値段』感想

アート小説というと原田マハさんの本を連想します。最近『アノニム』を読んだばかりでした。同じアート小説でも全然違いますね、当たり前だけど。

これが大賞受賞作?

呆気にとられてしまいました。(←すみません) なんか荒が目立つというか・・・。正直これを読むなら原田マハさんのを読んだ方が何倍も楽しめます。

『アノニム』原田マハ/ジャクソン・ポロック 「ナンバー・ゼロ」/世界を変えたアート - 原田 マハ

原田マハさん『アノニム』現代アーティストの巨星ジャクソン・ポロック〈幻の傑作〉を手に入れろ―原田マハさんのアート小説...

不在のアーティスト、川田無名

私が途中で読むのをやめなかったのには理由があります。

それは本書にでてくる、なぞの現代美術家・川田無名にあります。・・・でてくるというのはちょっと違うかな。登場はしないんですよね。不在のアーティスト、川田無名。

誰にも会わず、誰にも知られず、作品の制作さえも手放したアーティスト。もはや本当に存在しているのかさえ分からない。

彼と接触していたのは永井唯子ただ1人だけ。その彼女も早々と殺されてしまいます。

無名は生きているのか、死んでいるのか?

これが知りたくて最後まで読み続けました。途中 少しだけ飛ばし読みをしてしまいました。

私がハマれなかった理由

登場人物に感情移入できなかったというのが1番でしょうか。殺された唯子も、主人公の佐和子も、唯子の旦那さんも、誰も好きになれなかった・・・。嫌いというわけではなくてどうでもよい感じです。

アート小説なのに川田無名の絵画の良さがあまり伝わってこなかったです。

・・・これって致命的。(←でも後半からラストにかけては素敵な表現がありました。・・・それは後ほど。)
警察の捜査はリアル感がないし、アートとミステリーどちらも中途半端な感じがしました。

美術品の売買などのウラ事情などは詳しく書かれていましたが、あまり興味がもてず・・・。現代アートって作家さんが描かなくてもサインさえすればそれでOK・・・っていうのには、ちょっと面食らったけど。

唯一、後半のオークションのシーンは面白かったです。本作『神の値段』でオークションに出品されたのが1959年 幻の作品でした。

1959年 幻の作品

川田無名が描いた1959年 幻の作品。
それをギャラリーに運んだとたん、唯子は何者かに殺されてしまいます。主人公の佐和子は、犯人となぞのアーティスト、無名を探すのですが・・・。

『神の値段』は、1959年に描かれたとされる幻の作品をめぐる物語になっています。

巨大な水墨画。・・・やっと後半になって彼の絵画の良さが伝わってきました。

雄大な山の断片が横たわり、その上空には太陽と月が共存する。光り輝く雲のたゆたうあいだを、無数の鳥たちが自由に飛び回り、そして大地へと降りたつ。

一部を抜き出してみました。この言葉は素晴らしいなと思います。前半は彼が描いた水墨画の良さがよく分からなかったのですが、後半にこの表現がでてきます。

文章だけで絵を想像できる。

こういうの、アート小説の魅力ですね。実在する絵ではないけど、つい見てみたくなりました。・・・こういう表現もっとあれば良いのに。

そしてその絵がオークションに出されて、どんどん値段がつり上がっていくんです。このシーンは文句なしに面白かった。落札有力者のラディが落札するのか、それとも・・・。スリル感を一緒に味わえます。

そういえば、原田マハさんの『アノニム』にもオークションのシーンがありました。全く違う2作品ですが、『アノニム』を先に読んでいたので連想してしまいました。

無名の行方は?

無名は生きているのか死んでいるのか。

犯人よりもむしろ、こっちの方が気になった ひだまりさん。ネタバレになるので書きませんが。

・・・でもこんなに気になったのに、いざ読み終わってみると川田無名という人、現実味に欠けているんですよね。

人物像がいまいち掴めません。最初から最後まで彼に振り回されるのに、ユウレイのような人物でした。ラスト一行は良かったものの、なんでこれが このミス大賞? と疑問が残る一冊。

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