『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎/【感想】星野のサヨナラ・ストーリー、結末は・・・

1話が50人だけのために書かれた 「ゆうびん小説」 が、いまあなたのもとに。

伊坂幸太郎さん『バイバイ、ブラックバード』です。50人だけのために書かれた 「ゆうびん小説」 。

こんな小説がポストに届けられたら嬉しいだろうな。

疲れて帰ってきても、一気に吹っ飛んじゃいそうです。1話の物語がゆうびんで送られてくる企画。そんな素敵なことを、伊坂さんはやっていたのですね。これからWOWOWでドラマ化される本作。映像も楽しみです。

少しだけネタバレあります。

『バイバイ、ブラックバード』評価&あらすじ

ユーモアたっぷりのサヨナラ・ストーリー。

『バイバイ、ブラックバード』 オススメ度 : 感動 : 意外さ : 読みやすさ :

読みやすかったです。ユーモアたっぷりで面白く、感動もあり!何より繭美のキャラが最強でした。

【あらすじ】
主人公・星野一彦が付き合っていた5人の恋人たちに別れを告げるバイバイ・ストーリー。監視役の繭美と共に「大切な人にさよならを告げる」日々がスタートするが・・・。太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。

『バイバイ、ブラックバード』感想

ひだまりさん。20代のころ、二股をかけられていたことがありました。しかも、もう1人の彼女と かち合ったことがあるんですよね。忘れられない思い出 ^_^;
・・・そんなことを思い出しながら読んでいました。

心が温まるストーリー

ひとことで言うと

5股をかけていた主人公が、ひとりひとりにサヨナラを言っていく物語です。

6つの連作短編集。どんな修羅場が繰り広げられるんだろう・・・、とおそるおそる読んでいたのですが、そんな場面はなくどれも心が温まるようなストーリーでした。5人の彼女がまた良い味出しているんですよね。

5人の彼女たち

  • イチゴ狩りで出会った廣瀬あかり
  • 子供がいる霜月りさ子
  • ロープ女の如月ユミ
  • 数字に強い神田那美子
  • 女優・有須睦子

廣瀬あかりのジャンボラーメンの下り、好きです。

そしてこの物語に欠かせない重要な人物となっている繭美。彼女の存在感が凄まじい。話に深みが増しています。

子供のまま大人になった彼

バイバイ・ストーリー。・・・どんな悪い男が出てくるのかと思いきや、主人公の星野一彦という男、なんだか憎みきれない奴なんです。自分に正直というか、子供のまま大人になったような人。彼には悪気は全くないから始末に負えない。

「誰か一人を選ぶつもりなんてなかった。僕は、どの人と一緒にいるのも楽しかった。それこそ、ずっとこういう関係が続いていけばいいと思ってた」

純粋に、これが彼の本音です。大抵はそこに狡い計算だとかが働いて損得勘定がでてくるものだと思いますが、(←女の場合はほとんどそうです。) どうやら違うらしい。そんな彼のサヨナラ・ストーリーがコミカルに描かれながらも、どこか心が温まるんです。

前に読んだ、ねじめ正一さんの『荒地の恋』を思い出しました。

詩人・北村太郎という実在の人物の恋 (不倫) を描いた物語なのですが、なんとなくこの物語の星野とダブってしまいました。

『荒地の恋』ねじめ正一 /【感想】詩人・北村太郎の恋の行方と結末 - ねじめ 正一

ねじめ正一さん『荒地の恋』どうやら僕は、恋に落ちたようだ本格的な恋愛小説を読んだのは久しぶりです。豊川悦司さん主演でドラマ化され...

両方とも、主人公を憎みきれないんですよね。

〈あのバス〉に乗る前に・・・

ところで、どうして主人公が彼女たちに別れを告げることになったのかと言うと・・・、

〈あのバス〉に乗らないといけないから。

あのバス??

僕はあと二週間もすれば、〈あのバス〉に乗せられる。〈あのバス〉がどこへ、何の目的で、人を乗せていくのかはまだ教えられていないが、繭美の仲間たちの話を聞いている限りでは、平和な環境とはほど遠い場所へ行くのに違いなかった。

この小説、肝心なことは ぼやかしたままなんですよね。

どうやら星野は、借金の清算として ある組織に連れ去られようとしているようです。それでお別れしないままだと彼女たちは次に進めないから、サヨナラを言いに行くことにしたらしい。・・・なんとまぁ、律儀な男ですよね。

〈あのバス〉や ある組織、監視役の繭美について、ラストの展開までも全てが謎のまま。・・・これは想像で補えということか。

将来なりたかったもの

女優の有須睦子に別れを告げる5番目のストーリーが好きです。

子供のころ、将来なりたいものについて考えました。小学校の文集とかに書かされた記憶があります。当時 マンガばかり読んでいた私は、漫画家になりたいとかって書いたような・・・。

子どもの頃の夢をそのまま叶えた人ってどれくらいいるんだろう?

・・・なぜこの話をしたかというと、星野のなりたかったものが可愛いんですよね。そしてジーンとしてしまう。彼がなりたかったものは、「パン」 らしいです。

「未来のないおまえにあえて聞きたいんだけどな、星野ちゃん、おまえにも子供の時は、将来の夢とかあったんだろ?」

そこで僕は恥ずかしさをこらえ、「パン」 と言った。

「パン?」 繭美が大きい声で、聞き返してきた。「パンってあのパンか? 食べるやつか」

ここがとても好き。パンになりたいって、可愛すぎる。

このやりとりを聞いていた有須睦子と、彼女のマネージャーが泣き出すんですよね。ひだまりさん。も ジーンとしてしまいました。これだけだと意味がわからないと思いますが、とても心温まるお話です。

繭美は彼を救うのか? 結末は・・・

最後の6話は書き下ろしのようです。このラスト1話を読むと繭美が好きになる。・・・違うか。初めの1話から繭美というキャラが好きでした。だから、より好きになる。

キックする。キックする。キックする。キックする。キックする。息を吸う。キックした。

果たしてバイクのエンジンはかかったのか。

結末は読者の想像におまかせ・・・という展開です。うーん、続きが気になる、とても。バイクのエンジンはかかった・・・ということにしておきます。そして、もちろん繭美ならば彼を軽々と救い出すでしょう。そんなラストを想像してしまいました。

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Comments 1

There are no comments yet.
ひだまりさん。  
鍵コメMさんへ。

コメントをありがとうございます (*^^*)

伊坂さん良いですよね。
まだ数冊しか読んだことないのですが、心が温まる物語にジーンとしました。
『バイバイ、ブラックバード』は繭美のキャラがとても好きです (^^♪

ドラクエ大好きっ子の私ですが、これからもよろしくお願いします \(^o^)/

2018/04/27 (Fri) 12:47 | EDIT | REPLY |   

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