『スイート・ホーム』原田マハ /【感想】いつも誰かを想っていたい

幸せのレシピ。隠し味は、誰かを大切に想う気持ち―。

原田マハさん『スイート・ホーム』
とても心温まる連作短編集でした。こんなケーキ屋さんがあったら良いなと思います。・・・通っちゃいそう。

少しだけネタバレあります。

『スイート・ホーム』あらすじ

愛に満ちた家族の物語

『スイート・ホーム』 オススメ度 : 感動 : 意外さ : 読みやすさ :

【あらすじ】
幸せのレシピ。隠し味は、誰かを大切に想う気持ち―。うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、愛に満ちた家族の物語。さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。―「BOOK」データベースより―

『スイート・ホーム』感想

愛を感じて泣けました。読後感は最高に良かったです。なんてことのない日常を描いた小説ですが、その日常にこそ、たくさんの幸せが詰まっているんですよね。

表題作「スイート・ホーム」を始め、8話ほどの短編が詰めこまれた宝箱のような1冊でした。すべて結末が良くて、ほっこりします。

【目次】
  1. スイート・ホーム
  2. あしたのレシピ
  3. 希望のギフト
  4. めぐりゆく季節
    • 秋の桜
    • ふたりの聖夜
    • 冬のひだまり
    • 幸福の木
    • いちばんめの季節

そして どの物語にも登場するのが、小さな洋菓子店「スイート・ホーム」です。

洋菓子店「スイート・ホーム」

「スイート・ホーム」は みんなの憩いの場。

どんなに疲れて帰ってきても、仕事でうまくいかないことがあっても、ここまで来れば、もう大丈夫。駅からバスに乗って、ふたつめのバス停で下りて、色づき始めた街路樹を眺めながら、甘い香りのする場所へと向かう。そこでは、美味しいスイーツと、なごやかなパティシエ一家が、私の到着を待っていてくれる。

兵庫県宝塚にある小さな洋菓子店。甘い香りが漂い、チョコレート色のドアのそばには 大きなキンモクセイの木があります。

モデルのお店、あるのかな?

パティシエ一家も、常連客も みんな和やかな雰囲気で、読んでいると温かな気持ちになるんです。私も通いたくなってしまいました。

この小説は、様々な登場人物の視点で描かれています。パティシエ一家の長女・陽皆 (ひな)、次女・晴日 (はるひ)、料理教室 「オアシス・キッチン」 の未来・・・。

表題作 「スイート・ホーム」 は、陽皆が主人公の恋物語です。

彼女の恋を応援しつつ、接客業をしている ひだまりさん。は、雑貨店に務める彼女のお見送りに共感しました。

お客が見えなくなるまでお見送り。

売れないゼロの日もたまにあるから、買って下さるとありがたくて、見えなくなるまでお見送りするのがとても良くわかる。洋菓子店のパティシエである陽皆の父を見て育った彼女は、それを無意識にやっていました。そんな彼らに好感が持てました。

彼女の恋と心のこもった料理

「あしたのレシピ」 の、未来の恋が切なくて、でも素敵です。

『スイート・ホーム』には、いくつかの恋が描かれています。陽皆の恋、晴日の恋、未来の恋・・・。その中で 未来が主人公の 「あしたのレシピ」 が好きです。

好きになった男の子、辰野くんに気持ちを伝えようとした未来ですが、彼には他に好きな人がいて・・・。

好きな人のために、料理を作る。その喜びを、辰野君に教えられれば、それでいい。

彼を思いやる気持ちが健気で、切ないけど心が温かくなりました。相手のことを想いながら料理を作る喜び。そして心のこもった料理は美味しい。以前に読みました『東京すみっこごはん』を思い出しました。

『東京すみっこごはん』成田名璃子/愛情たっぷりの料理と優しい結末 - 成田 名璃子

成田名璃子さん『東京すみっこごはん』美味しいって不思議だ。ただそれだけのことなのに、気持ちが満たされて、力が湧いてくる。とても心が温まる...

ひだまりさん。は、どんなに高級な食材を使った料理でも母の手料理にはかなわないと思います。レストランで食べるご飯も美味しいけど、母の料理は ホッとする。・・・そんなことを思いました。

家族の愛

どれもが "家族の愛" をテーマにした物語になっています。

はじめの3つ、「スイート・ホーム」 「あしたのレシピ」 「希望のギフト」 を読むと 恋愛もの?と思うけど、物語は後にも繋がっていて、全体を見てみると "家族の愛" が描かれているんだなと感じました。

家は、人が住んで、家庭になる。「ハウス」 は、人が人と暮らして、時を経て 「ホーム」 になる。

この言葉が素敵です。
楽しいことも辛いことも一緒に経験して乗り越えて、「家庭」 になり 「ホーム」 になる。すべての短編が繋がっていて、時間の経過を感じました。・・・家族って良いですね。

いつも誰かを想っていたい

誰かを大切に想う気持ちって温かい。

『スイート・ホーム』は、それが伝わるだけでこんなにも満ち足りた気持ちになるんだな・・・と、実感できた1冊です。みんな大切に想う誰かがいて、それが本人に伝わったとき、一緒に泣いてしまいました。温かくて優しい気持ちになります。

ここで描かれている人たちのように、いつも誰かを想っていたい。

恋人、家族、友だち・・・。私のまわりにも、多くはないけど大切な人たちがいます。私が大切に想っているように、相手も私のことを同じように想ってくれている。それだけで幸せです。

どのキャラにも大切な人がいて、人を想う気持ちって良いなと思いました。

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コメント 4

There are no comments yet.
TOMMY  

ひだまりさん。こんにちは!

原田マハさんは僕も大好きな作家さんの1人です。

「家は、人が住んで、家庭になる。「ハウス」 は、人が人と暮らして、時を経て 「ホーム」 になる。」

↑ほんと素敵な言葉ですね。
春の陽気にはピッタリな本のような気がしますので、この本もまた読ませてもらいます。笑

先日、ご紹介していた「イノセントデイズ」読了しました。

幸乃の結末が気になりすぎてドンドン読み進めてしまいました。笑
それしても最後はなんとも言えない虚無感にさらされましたね…

個人的にはこの物語を通して、メディアの捏造って改めて怖いなと感じました。

メディアもいかに視聴者の注目を集めるかが仕事なので難しいところですが、何でもかんでも犯罪疑惑?の人をいかにも「最悪の悪人」にしたてるのもどうなのかと…

かといって本当にサイコパスな人も世の中にはいるので、正義とはなんなのか頭の中が混乱しています…苦笑

今のところの僕の中で結論としては、「メディアの報道を半信半疑で見聞きする」ことに落ち着きました。

小説でこんなに考えさせられるのは久々でしたので、改めて作家さんの偉大さを感じました!

2018/03/26 (Mon) 09:20 | EDIT | REPLY |   
ひだまりさん。  
TOMMYさんへ。

TOMMYさん、こんにちは。
コメントをありがとうございます(^O^)

原田マハさんの本、良いですよね!
まだ数冊しか読んでいないのですが、私も好きな作家さんのひとりです。
特にアートものが好きで新刊を楽しみにしています。

『スイート・ホーム』は、心がポカポカと温まる物語でした。
素敵なことばがたくさん書かれていて、気になった部分に付箋を貼りながらよむのですが、気づいたら本が付箋だらけになってしまいました(笑)←原田さんの本はいつもそうなんです。
ぜひ読んでみて下さい。

『イノセントデイズ』読み終わりましたか。・・・何とも言えない虚無感になります。
初めて読んだ時は、切なさと悔しさでいっぱいになりました。

確かにメディア・・・って怖いです。
報道されていることって信じてしまいがちだけど、実際のところは違うかもしれないんですよね。

TOMMYさんの感想を読んでいて、中山七里さん『セイレーンの懺悔』や、米澤穂信さん『王とサーカス』を思い出しました。
マスコミ、ジャーナリストを扱った本なのですが、その時に、メディアのあり方、それを聞く私のあり方も見直さないといけないなと思った記憶があります。

『イノセントデイズ』でも、雪乃を煽り立てるように報道してて、怖さを感じますね。・・・私も 「鵜呑みにしすぎない」 をモットーにしようと思います。

2018/03/26 (Mon) 14:11 | EDIT | REPLY |   
TOMMY  

ひだまりさん。

付箋だらけの小説って凄いですね!笑
さすが原田さん&ひだまりさん。!!

僕もスイート・ホームを読んでポカポカになってきます( ̄^ ̄)ゞ

やっぱりそうですよね…
鵜呑みにしすぎないように自分の気持ちや考えも大切にしてきたいと思いました。

他の書籍のご紹介もありがとうございます!ブログもそうですが、ひだまりさん。の小説に対する感性にいつも惹かれていますのでまたまた楽しみが増えちゃいました(^^)

今後も宜しくお願いします!

2018/03/26 (Mon) 23:28 | EDIT | REPLY |   
ひだまりさん。  
TOMMYさんへ。

TOMMYさん。

そうなのですよ。
原田さんの小説を読むといつも付箋だらけになってしまうんです ^_^;
言葉の魔力がすごい作家さんです。
読後感も心地よいから、安心して読めますよね。

・・・こちらこそ、よろしくお願いしますm(_ _)m
温かいコメント、とても嬉しいです。
ありがとうございます\(^o^)/

2018/03/27 (Tue) 00:38 | EDIT | REPLY |   

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