『イアリー 見えない顔』前川裕 /【感想】リアルな恐怖と戦慄の結末

日常が侵触される恐怖を、あなたに。

前川裕さん『イアリー 見えない顔』。
初めて読む作家さんでした。映画『クリーピー 偽りの隣人』の原作を書かれた方なんですね。(←映画みてないけど、タイトルだけは知っている)

WOWOWにてドラマ化ということで、読んでみました。

少しだけネタバレあります。

『イアリー』あらすじ

近隣トラブル、総長選挙。戦慄のサスペンス!!

『イアリー』 オススメ度 : 感動 : 意外さ : 読みやすさ :

【あらすじ】
私立大学で教授を務める私が、病死した妻の葬儀を終えて帰宅した夜の10時過ぎ、自宅のインターホンが鳴った。「奥様、ご在宅でしょうか?」。インターホンのディスプレイに映る女性の姿に見覚えはなく、私が外に出たときには、女の姿は消えていた。あの女は誰だったのか。そんな思いに囚われながら、私は大学の総長選挙に深く関わっていく。やがて近所のゴミ集積場で身元不明の死体が発見され、私の身の回りで起こる不審な出来事と、混沌とした選挙戦のつながりまで見えてきて―。不気味すぎる近隣トラブルが大学総長選挙の闇へとつながる戦慄のサスペンス。 ―「BOOK」データベースより―

『イアリー』感想

とにかくブキミでした。薄気味悪いというか、読んでいて常にイヤーな感じが付きまとう・・・。

イアリー、EERIE、いありー。

意味

不気味な、ぞっとするような

・・・まさにタイトルが意味する通りの内容です。途中から一気に読みましたが、残念ながらそれほど面白いとは思えませんでした。

ドラマでは、オダギリジョーさん、仲里依紗さんが出演するようです。・・・映像だとまた違うのかな?

日常が侵触される恐怖

戦慄のアーバンスリラー!!

大学教授を務める主人公、広川の日常が侵触されていく過程をスリリングに描いています。

都会に潜む恐怖。
近隣トラブル、大学総長選挙・・・などが絡み合い、登場人物の誰もが怪しく思えてしまいます。疑惑の目で読んでいました。

こんなことが身近にあったら怖い。

人は様々な思惑があって、その全てを晒しているわけではないんですよね。・・・当たり前だけど。

特に黒幕が分かってからはゾッとしました。善人にみえる人なのに、実はとんでもない狂人だったという結末にはショックを受けてしまいます。・・・人は見かけによらない。

白い巨塔さながら!?大学総長選挙

広川が務める大学で、総長選挙が繰り広げられます。そこでは様々な思惑が渦巻いていました。広川も巻き込まれていきます。

田島に対抗するために、仏上を押しあげる石田陣営。そして石田にはある考えが・・・。

「仏上先生に立候補していただくと同時に、もう一人の候補も立てるのです」

おとり候補ですね。
敵陣営の注目をその囮のほうに引きつける。その間に仏上先生の票を密かにあつめる作戦です。そして あろう事か、その囮に広川が抜擢されてしまいます。

『白い巨塔』を思い出してしまいました。大学でもこういう選挙みたいなの、あるんですね。私が通っていた短大でも、こんなのあったのかなあ・・・。

スキャンダルに怪文書。・・・なんだろう。こういうの、苦手です。

広川の身辺に異変が・・・

総長選挙と時を同じくして、広川の近隣にトラブルが続出します。

本当に嫌なことばかりが続く。妻の死から始まって、八多眞一の自殺。そして、篠田の妻の入院騒ぎで、今度は身元不明の死体の発見だ。

近隣住民の自殺に、身元不明の死体発見・・・。そのうちに篠田一家も姿を消してしまいます。隣の家の久子はブキミだし、正体不明のヤダと名乗る女性の出現・・・。

このことは選挙戦に関係があるの!? ・・・本当に薄気味悪い。背筋がヒヤリとします。

ところで、この地域には病人がいる家族ばかりが住んでいました。そして1枚のチラシ。どんな病気でも手翳しのパワーで完治できるという大げさな宣伝文句が書かれていました。

難病退散、手翳しの光

「煌臨会」 という宗教団体のチラシです。・・・いかにも怪しい。この宗教団体が後に絡んできて、事態はより深刻になっていきます。

リアルな恐怖に背筋がこおる

近隣トラブルとか、ちょっとリアル感があります。ホラーと言われるほどホラー感はないのですが、恐怖がジワジワとくるんです。

近所にこんな人たちがいたらイヤだ。

『イアリー 見えない顔』というタイトルからして不気味さを感じます。

なんか得体の知れない怖さ・・・。先日読んだ小林由香さん『罪人が祈るとき』のレビューで、ピエロについてふれました。本書は、人がピエロに抱く恐怖のような怖さがあります。

ピエロ。真白な化粧をして笑ってる、ある意味ブキミな存在です。

笑ってるように見えて実は笑っていないかもしれない・・・。この物語に出てくる登場人物たちに似通ったものを感じます。化粧の上と下では表情が違うんです。表の顔と裏の顔がちがう人ほど怖い。

戦慄の結末

あの人が黒幕だったのか・・・。

人ってわからないものですね。黒幕が分かってもブキミさは消えないままです。ラストはよく分からなかったけど、それもまたイヤーな感じの余韻が残って、本当に最後の最後まで薄気味悪さを感じる小説でした。

後味悪し。

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